研究テーマ紹介

視覚的記憶

私たちは過去に見た風景やモノをありありと思い出すことができると感じていますが、具体的にそれを表現しようとすると実はかなり限られたことしか思い出すことができないということに気付きます。私たちの記憶は、実際のところどれだけの情報を、どのようなメカニズムで保存しているのでしょうか。このような問題に関して、記憶の容量や精度、注意との関係、脳波の解析など様々な観点からこの問題について研究しています。

共感覚

「モノクロの文字に色がついて見える」や「音を聞くと色が見える」という現象は共感覚と呼ばれ、人口の1%ほどの人にこのような特殊な感覚が存在することが知られています。人間の感覚機能のメカニズムを解明する上で共感覚現象は重要な手がかりとなると期待されます。本研究室では特に文字に色や質感が付いて見える共感覚について研究を行なっています。

質感の認知

光沢感や柔らかさあるいはざらつきなど、「質感」の情報はモノの認識や印象にとって重要であると考えられます。人は細かな質感の違いをよく見分けることができますが、他方でそれを人に伝えようとすると非常に困難を感じることになります。このような困難さは言語の乏しさに由来するだけでなく、質感の記憶自体の乏しさに由来する可能性も考えられます。そこで私たちは質感記憶の性質について検討を進めています。

視覚の脳内メカニズム

目に映った視覚情報は脳内の視覚野において様々な処理を経て認識されます。本研究室では特に脳が色を認識するメカニズムや視覚野の構造について、fMRIを用いた脳活動計測により検討しています。また、モノを見た時に感じる触覚的な感覚(柔らかさや滑らかさ)の知覚メカニズムについての研究に取り組んでいます。

注意能力の遺伝的影響

近年、遺伝子の個人差が注意や記憶などの認知能力に影響を与えていることが明らかにされてきています。これは、注意や記憶といった能力が経験ではなく生まれつきの性質で部分的にしろ決定されることを示唆し、人の認知能力の個人差を解明する上で重要と考えられます。本研究室では特に視覚的な注意能力の個人差と遺伝子の関係について検討を進めています。

潜在学習

心の働きは意識的なものだけではなく無意識的・潜在的な過程にも大きく影響を受けていることが知られています。例えば人は無意識のうちに外界に存在する規則性を抽出・学習していることがわかっており、このような過程における認知過程についての研究を行なっています。

空間認知とナビゲーション

地図やカーナビあるいは記憶を頼りに目的地まで移動する行動はナビゲーションと呼ばれ、知覚から記憶まで人間の空間認知能力の様々な側面の協調を探る上で興味深いテーマです。本研究室では特に空間の記憶とナビゲーションの関係について検討を進めています。

視線・シーン認識・文化

「目は心の鏡」と言われるように、人の視線は心の働きを解明する上で様々な手がかりを与えてくれます。本研究室では風景を見る時の視線の動きについて研究しています。また、視線の動きには文化差があり、日本人とアメリカ人は異なるスタイルで外界を見ていることが示唆されており、このような問題についても取り組んでいます。